2003
1823

土地贈与税の計算方法と親子の場合の非課税枠をFPが解説!

土地贈与税の計算方法と親子の場合の非課税枠をFPが解説!
FPという仕事をしておりますと、さまざまな事情を抱えた世帯の方と接する機会があるのですが、たとえば、両親や祖父母が所有している土地に子どもや孫が家を建てるといった機会に遭遇することが意外と多くあります。個人的には、うらやましいと思いつつも土地を贈与して家を建てる効果は、土地をあげる側も貰う側もどちらにもメリットが生じることになります。とはいえ、やはり土地を贈与した際にかかる税金や贈与の非課税枠などはどうしても気になってしまうものです。そこで本記事では、両親や祖父母が子どもや孫に土地を贈与するものとして贈与税の計算方法や贈与税の非課税方法についてわかりやすく解説していきます。

1.贈与税の基礎控除額

贈与税には、基礎控除額といった1年間に110万円までの贈与であれば贈与税がかからないといった仕組みがあります。


しかし、土地の贈与の場合、その価値は110万円を超えてしまう場合がほとんどであり、事前に贈与対策をしなければ、 結果として、土地を貰った子どもや孫が贈与税を納めなければならないことになってしまいます。

2.土地の贈与にかかる税金対策

本項では、贈与税法で認められている「合法的な税金対策方法」について順を追って解説していきます。


仮に土地を子どもや孫へ贈与する予定がある場合は、専門家である税理士へできる限り相談するようにして下さい。

2-1.贈与する土地の価値を把握する
土地を贈与する場合、まずはその土地がどのくらいの価値があるのか調べる必要があります。 贈与税のルールにおいて、土地の価値は「財産評価基本通達」というものに則って価値を計算し決定するものとされています。 これがいわゆる「評価額」にあたります。

“相続税や贈与税を計算するときに、相続や贈与などにより取得した土地や家屋を評価する必要があります”

出典 国税庁 No.4602 土地家屋の評価より

ここで1つはっきりとした評価のルールとして、「相続」で土地を取得した場合でも、「贈与」で土地を取得した場合でも、 評価の方法は同じであることがわかります。 そして、国税庁では、贈与で取得した土地の評価方法については、「路線価方式」もしくは「倍率方式」のいずれかの方法で行って下さいと解説しています。

“路線価方式は、路線価が定められている地域の評価方法です。 路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことで、千円単位で表示しています。 路線価方式における土地の価額は、路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算します”

“倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法です。倍率方式における土地の価額は、 その土地の固定資産税評価額(都税事務所、市区役所又は町村役場で確認してください。)に一定の倍率を乗じて計算します”

出典 国税庁 No.4602 土地家屋の評価より

ざっくり要点をまとめますと、路線価方式で土地の評価ができる場合は、路線価方式で行い、 路線価方式で土地の評価ができない場合は、倍率方式で評価を行うといった流れになります。 路線価のイメージ図は以下の通りです。
図1
出典 国税庁 No.4602 土地家屋の評価より

路線価とは、道路の図に掲載されている「300千円」の部分です。国税庁が公開している路線価を確認するには、 贈与した土地の住所を路線価図で確認することでいくらになっているのか確認することができます。 イメージ図の場合は、1㎡あたり30万円であることがわかり、道路に金額の記載がない場合は、「路線価がない」ことになりますので、 倍率方式で贈与した土地の評価をすることになります。なお、イメージ図に路線価方式による土地の評価方法と評価額が掲載されておりますが、 この場合の土地の評価額は5,400万円であることがわかります。

2-2.相続時精算課税制度の活用でまとめて贈与も可能

仮に両親や祖父母が「60歳以上」で子どもや孫が「20歳以上」ということであれば、 相続時精算課税制度という制度を活用してまとめて贈与をすることも可能です。相続時精算課税制度は、 通算して2,500万円までの贈与が非課税となります。そして、2,500万円を超えた部分については、 一律20%の税率をかけて贈与税を計算することになります。したがいまして、 贈与する土地の評価額が2,500万円以下で相続時精算課税制度を適用するためのすべての条件を満たしていれば、 贈与税がかからない状態で土地を贈与することができるわけです。

3.贈与税の計算方法

あくまでも専門家である税理士へ依頼しましょうと前置きしつつ、ここでは土地の評価額が1,000万円であった場合の贈与税の計算例を紹介していきます。


贈与税を計算する上で「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」という2つの方法がありますので、 両者の違いを比較して確認してみることをおすすめします。 なお、贈与は父(60歳)から子(25歳)へ行われたものとします。

3-1.暦年課税制度の場合

1,000万円(土地の評価額)-110万円(基礎控除額)=890万円
890万円×30%-90万円=177万円(納める贈与税)

暦年課税制度の場合、土地を貰った子どもが177万円の贈与税を納めなければならない結果となりました。

3-2.相続時精算課税制度の場合
1,000万円(土地の評価額)-2,500万円(相続時精算課税特別控除額)=▲1,500万円

計算結果がマイナスの場合は、0円として取り扱うため、相続時精算課税制度を適用した場合、 子どもは贈与税を納める必要はありません。

4.贈与税の税率に注意

暦年課税制度で贈与税を計算する場合は、「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区分されるところに注意が必要です。


具体的には、誰と誰の間で贈与が行われたのかによって使用する速算表が異なることになります。

4-1.一般贈与財産の速算表
図2
出典 国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

上記の速算表は、「兄弟間の贈与」「夫婦間の贈与」「親から子への贈与で子が未成年者の場合」などに使用します。

4-2.特例贈与財産の速算表
図3
出典 国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

上記の速算表は、「祖父から孫への贈与」「父から子への贈与」などに使用します。
こちらの税率は、「直系(血がつながっている)であること」「贈与をした年の1月1日時点で子どもや孫が20歳以上」という条件を満たしている必要があります。

5.最後に

本記事では、両親や祖父母が子どもや孫に土地を贈与するものとして贈与税の計算方法や贈与税の非課税方法について解説しました。 暦年課税制度と相続時精算課税制度の違いを紹介したことによって贈与税のかかり方が大きく異なることをご理解できたと思います。 贈与税の問題だけで考えますと、明らかに相続時精算課税制度の方が良い結果であったことは間違いありませんが、 相続時精算課税制度には大きなデメリットがあることも確かな事実です。 また、相続問題を考えた時、たとえば2人の子がいて、その内の1人に対して贈与をするということは、もう1人の子との間に少なからず不公平感が生じてしまいます。 このような問題も起こり得ることから、相続時精算課税制度を適用する時はじっくりと考え慎重に判断する必要があります。


慎重に判断する必要があります。

それぞれの世帯状況によってケース・バイ・ケースの問題になることが予測されますが、専門家である税理士に依頼して解決するべきことはいうまでもありません。

このページでわからない点があれば教えて下さい、相続牧場のFPが確認後回答致します。


2003
1823



人気記事
  • 相続税の時効は7年?起算日の算定方法をFPが解説!時効で支払わずに済むのか? 相続税の時効は7年?起算日の算定方法をFPが解説!時効で支払わずに済むのか?
    相続税の時効は7年?起算日の算定方法をFPが解説!時効で支払わずに済むのか? ... 451 views
  • 相続税はいくらからかかる?金額と計算方法、根拠をFPが解説! 相続税はいくらからかかる?金額と計算方法、根拠をFPが解説!
    相続税はいくらからかかる?金額と計算方法、根拠をFPが解説! 相続税は... 277 views
  • 相続税路線価とは?路線価図や計算方法をFPが解説! 相続税路線価とは?路線価図や計算方法をFPが解説!
    相続税路線価とは?路線価図や計算方法をFPが解説! 相続税路線価とは、... 250 views
  • 遺留分減殺請求とは?時効や期間などをFPが解説! 遺留分減殺請求とは?時効や期間などをFPが解説!
    遺留分減殺請求とは?時効や期間などをFPが解説! 遺留分減殺請求(いり... 185 views
  • 遺産分割協議とは書類の書き方など、わかりやすくFPが解説! 遺産分割協議とは書類の書き方など、わかりやすくFPが解説!
    遺産分割協議とは書類の書き方など、わかりやすくFPが解説! 遺産分割協... 154 views
  • 相続財産管理人とは?選任方法や予納金や報酬をFPが解説! 相続財産管理人とは?選任方法や予納金や報酬をFPが解説!
    相続財産管理人とは?選任方法や予納金や報酬をFPが解説! 相続財産管理... 150 views
  • 相続税基礎控除に生命保険の死亡保険金を上乗せする方法をFPが解説! 相続税基礎控除に生命保険の死亡保険金を上乗せする方法をFPが解説!
    相続税基礎控除に生命保険の死亡保険金を上乗せする方法をFPが解説! は... 121 views
  • 相続税の税率早見表をFPが解説!速算表とは? 相続税の税率早見表をFPが解説!速算表とは?
    相続税の税率早見表をFPが解説!速算表とは? 税金には、所得税や相続税... 120 views
  • 暦年贈与とは?信託には契約書がいる?注意点をFPが解説! 暦年贈与とは?信託には契約書がいる?注意点をFPが解説!
    暦年贈与とは?信託には契約書がいる?注意点をFPが解説! 贈与とは、人... 67 views
  • 養子の相続権、相続分などをFPが解説!実親との問題はどうなる? 養子の相続権、相続分などをFPが解説!実親との問題はどうなる?
    養子の相続権、相続分などをFPが解説!実親との問題はどうなる? 養子(... 56 views
  • 相続税基礎控除の改正、金額、配偶者や家族構成での差をFPが解説! 相続税基礎控除の改正、金額、配偶者や家族構成での差をFPが解説!
    相続税基礎控除の改正、金額、配偶者や家族構成での差をFPが解説! 相続... 55 views
  • 遺贈とは?相続とは何が違う?税金や相続税などをFPが解説! 遺贈とは?相続とは何が違う?税金や相続税などをFPが解説!
    遺贈とは?相続とは何が違う?税金や相続税などをFPが解説! 遺贈(いぞ... 55 views
  • 相続税の申告期限が改正?申告期限の延長や納付の対策方法などをFPが解説! 相続税の申告期限が改正?申告期限の延長や納付の対策方法などをFPが解説!
    相続税の申告期限が改正?申告期限の延長や納付の対策方法などをFPが解説! ... 53 views
  • 相続放棄を申述する場合の必要書類とは?家庭裁判所での手続きをFPが解説 相続放棄を申述する場合の必要書類とは?家庭裁判所での手続きをFPが解説
    相続放棄を申述する場合の必要書類とは?家庭裁判所での手続きをFPが解説 ... 52 views
  • 公正証書遺言とは?公証役場における遺言書の作成費用から注意点までFPが解説! 公正証書遺言とは?公証役場における遺言書の作成費用から注意点までFPが解説!
    公正証書遺言とは?公証役場における遺言書の作成費用から注意点までFPが解説! ... 50 views
  • 最新記事
  • 相続税の税率早見表をFPが解説!速算表とは?
    相続税の税率早見表をFPが解説!速算表とは? 税金には、所得税や相続税といった個 2017/5/13
  • 相続放棄を申述する場合の必要書類とは?家庭裁判所での手続きをFPが解説
    相続放棄を申述する場合の必要書類とは?家庭裁判所での手続きをFPが解説 相続放棄 2017/5/6
  • 養子の相続権、相続分などをFPが解説!実親との問題はどうなる?
    養子の相続権、相続分などをFPが解説!実親との問題はどうなる? 養子(ようし)と 2017/5/4
  • 相続税対策に生命保険が有効?FPが解説する魅力ある節税とは?
    相続税対策に生命保険が有効?FPが解説する魅力ある節税とは? 相続税対策には、節 2017/5/3
  • 相続で兄弟がもめる?争いにならないために親がしておくべきこと
    相続で兄弟がもめる?争いにならないために親がしておくべきこと 相続は、あらかじめ 2017/4/22