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住宅ローンにおけるオーバーローンとは?行員が逮捕された事例も?FPが解説!

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住宅ローンにおけるオーバーローンとは?行員が逮捕された事例も?FPが解説!

住宅ローンにおけるオーバーローンとは?行員が逮捕された事例も?FPが解説!
住宅ローンの審査は、申し込んだ人の返済能力を厳密に調査して融資の可否を判断するものですが、2016年にマイナス金利政策の導入があったように、お金を貸し出さないと金融機関の財務内容が悪くなるといった状況が続いています。こうしたことがあってお金を借りる側の立場が強くなっていると考える向きもあります

極端な場合、預金がないのに大きなお金が借りられるということもあるようです。「サラリーマン大家」といって、副業で不動産賃貸業を始めるにあたり、「賃貸物件の取得を全額ローンで」というケースも見られ、このような極端なことについて、日本銀行も警戒しているようです。こういった極端な融資は住宅ローンにおいても行われているのではないでしょうか。

1.オーバーローンとは

金融機関のホームページで、住宅ローンのページをチェックすると、「資金の使途」「資金の使いみち」という要件があります。


例えば、広島県を中心に営業展開している広島銀行の場合であれば、融資金の使いみちは次のようになっています。

融資金の使いみち 住宅ローンを申し込んだご本人またはご家族が
お住まいになる目的で、次の用途のいずれかに
該当すること

・住宅の新築、増改築、補修
・住宅の購入
・住宅用地の購入(建物の建築計画があること
 が必要)
・塀、門、車庫などの新築、増改築資金
・長期火災保険料
・セカンドハウス
・住宅取得に関する諸費用(消費税、保証料、
 登記費用、仲介手数料、インテリア、電化製品、
 家具、その他住宅取得に関する諸費用)
・他の金融機関からの借り換え資金や借り換えに
 関係する諸費用

低金利かつネットバンク等の新業態の台頭で、金融機関にとって長期安定の収益源である住宅ローン利用者の獲得競争が激しくなっていて、住宅ローンで調達した資金の使途に柔軟性を持たせている金融機関が多くみられます。こうした借り手有利の状況を悪用して、例えば住宅の新築にかかる費用を水増ししたり、住宅取得に関する諸費用を過大に計上したりして、より沢山のお金を借りようとする方もおられるのではないでしょうか。

住宅ローンに申し込もうとする本人にそうした意識がなくても、より高額な物件を買ってもらいたい不動産屋さんや工務店さんに教唆(きょうさ)、つまりそそのかされて、「工事代金を水増しして、お金を借りませんか」、「購入代金を多めに計上して、お金を借りましょう」という誘いに乗ってしまう場合もあるでしょう。こうした場合、住宅ローンを水増しした形で借りるという行為に及んでしまい、融資が実行された後に虚偽であることが発覚すると大問題になることがあります。

このように、住宅ローンの貸し手である金融機関を欺いて、多めにお金を調達するという行為は「オーバーローン」と言われ、絶対にやってはいけない行為です。金融機関によってはペナルティとして、全額繰り上げ返済によっては、住宅ローン契約の即時解除を求められる場合があります。また、悪質な場合は「詐欺罪」などで刑事責任に問われたり、損害賠償などの民事責任を問われることがあります。

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2.オーバーローンの背景

工務店さんや不動産屋さんが、物件の注文主や買い主にオーバーローンを教唆するということは、以前から問題になっていたようです。


しかし、金融機関の側でも、融資残高が売り上げに該当すると考えて、融資高のノルマを課せられた行員が、オーバーローンに荷担するということもあるようです。低金利が続くと次のような状況になりがちなのではないでしょうか。

・借り手優位
・融資審査業務の外注化

2-1. 借り手優位
国の政策として金融緩和を続けている上に、2016年にマイナス金利政策という、金融機関が日本銀行にお金を預けていると利息を取られる政策が導入されたために、金融機関はお金を貸し出しに回さないと収益が悪化してしまいます。よって、各金融機関は融資の拡大に躍起になっているかもしれません。

また、規制緩和による競争の激化で、ネットバンクなどの新しい業態で金融業務を行う事業者が増えてきました。こうしたことから、前述の住宅ローンの資金の使途は、かなり柔軟になってきています。調べてみると2017年4月時点で、次のように「こんな費用まで住宅ローンで借りられるの?」というものまであります。

諸費用 左記の諸費用を住宅ローンに含めて
借りることができる金融機関
不動産仲介手数料 イオン銀行、じぶん銀行、楽天銀行、
みずほ銀行、など
住宅ローンの手数料や保証料 アルヒ、イオン銀行、じぶん銀行、
住信SBIネット銀行、ソニー銀行、
カブドットコム証券、楽天銀行、
三菱東京UFJ銀行、三井住友信託銀行、
みずほ銀行、など
水道加入分担金 イオン銀行、楽天銀行、みずほ銀行、
など
中古住宅のリフォーム費用 イオン銀行、新生銀行、ソニー銀行、
楽天銀行、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、
三井住友銀行、りそな銀行、三井住友信託
銀行、三菱UFJ信託銀行、など

こうした状況が何時まで続くかはわかりませんが、借り手優位の状況であるということはなんとなく感じられるのではないでしょうか。私個人も住宅ローンを利用したことはありますが、「不動産仲介手数料や水道加入分担金まで住宅ローンに含めて借りられる」というのは少し驚きです。

2-2. 融資審査業務の外注化
各金融機関は融資の拡大に躍起になっているということを考えると、住宅ローンに関するキャンペーンなどを積極的に行い、結果的に相当数の住宅ローン利用希望者を集めていると思われます。限られた数の融資審査担当の行員だけでは、とても捌ききれない数になっていることでしょう。こうしたことから、融資審査業務の外注化をする金融機関は多いようです。

具体的には金融機関の系列の信用保証会社や、全く外部のクレジット会社などに、住宅ローン審査を外注している場合があります。中には「丸投げ」ということもあるかもしれません。金融機関のチェックがほとんどないということになると、融資審査業務を受託した会社の担当者のさじ加減1つで、融資審査をパスしたり、融資審査で落とされたりといったことになるかもしれません。

融資審査を外部に「丸投げ」で、貸し手として融資の当事者である金融機関のチェックがほとんどないという状況が続くことは、オーバーローンが発生する温床となるのではないでしょうか。

3.オーバーローンの問題点

お金を借りやすいということで、会社の倒産の原因となる資金繰りの悪化、運転資金の不足という状況は改善されてきている一方で、次の問題が指摘されています。


・不動産バブルの再燃
・金融破綻と恐慌

1980年代後半から1990年代前半に経験した「いつか来た道」ということで、物件の価値以上にお金が借りられるということは、お金の使い方がおかしくなるということに成りかねないようです。オーバーローンは詐欺罪や背任罪に問われるような悪質なものを除いても、前述のように借り手優位の状況から「借りすぎて返せない」という個人レベルにおける自己破産などを誘発し、日本が以前に体験した不動産バブルの発生と崩壊、米国におけるサブプライムローン問題に端を発したリーマンショックなど金融不安によって、経済にダメージを与えることが問題点として指摘できるのではないでしょうか。

私が調べたところでは、東京などではすでに商業用は勿論、居住用の不動産価格が他の都道府県に比べてかなり高騰しています。また、お金を借りやすい状況から、元手かなくても金融機関からお金を借りて、家賃収入の利回りでペイする「サラリーマン大家」なる副業を始める人が増えてきているようです。こうした「にわか大家さん」が急増することで、不動産の需給バランスが崩れ、結果的に不動産価格が下落してバブルが崩壊するのではないかということを、金融緩和政策を進めている日本銀行自身が危惧しています。

4.行員が逮捕される?ケース

オーバーローン自体がすぐに罪に問われることはあまりなく、通常は融資審査に申し込む時点でチェックがかかります。


しかし、このチェックが関係者の癒着などで歪められる場合があります。虚偽の金額を記載した住宅ローン申込書を、審査する行員が虚偽であることを知りながらも審査を通過させ、その見返りに「極秘にバックマージンを受け取る」といった事例があります。

こうした事例では、その後に金融機関内の他の行員の告発などによって事実が発覚すれば、加担した行員を含めて関係者は、次の刑事責任を問われる場合があります。

・有印公文書の偽造の罪
・詐欺罪、背任罪

審査を担当する行員に権限が集中していて、複数の人が多忙でチェックできないということになると、住宅ローンを申し込んだ人が不動産屋さんや工務店さんと結託して虚偽の金額を記載した申し込みにでも審査が通り、融資が実行されて、結果として損害を被るのは金融機関であり、その金融機関に預金している方々になります。

虚偽の審査書については、有印公文書の偽造ということになりますし、金融機関に預金している人に対しては詐欺罪、金融機関に対しては背任罪の成立が考えられ、その責任が問われることになるのではないでしょうか。

5.関連する情報

オーバーローンに関係する話題として、次の内容についてご紹介します。

・政府が金融緩和を続ける理由
・レバレッジのはなし

5-1. 政府が金融緩和を続ける理由
数年前の話ですが、2008年に米国のサブプライムローンの焦げ付きから端を発した「リーマンショック」という経済危機がありました。世界的に金融不安に陥り、「貸したお金が返ってこない」といった不安が蔓延し、金融機関がこぞって「貸し渋り」に走ったことを覚えておられるでしょうか。

こうした「貸し渋り」が横行すると、金融機関からお金を工面して当面の運転資金を調達している小さな会社などはすぐに資金繰りに行き詰まってしまい、最悪の場合は倒産してしまいます。また個人のレベルでもバブル崩壊の時のように、「金融機関が倒産するのではないか」と不安になり、「タンス預金」にはしる人が増えて、世の中全体が資金不足に陥って状況がますます悪化してしまいます。

会社でも個人でも、当面の経営や生活に必要なお金を貸してくれる環境であれば、お金の心配は少なくなり、計画していた投資や欲しい物を思い切って買うといった行動が期待できますね。こうした投資や消費が増えることで、その関係のお仕事や商売が繁盛して、世の中のお金の巡りが良くなるということになります。こうした環境に導くための有効な施策の1つが、政府が行う金融緩和ということだと思います。

5-2. レバレッジのはなし
レバレッジとは、物理学でよく知られている「てこの原理」の「てこ」のことです。重い物でも「てこ」を上手に使って少ない力で持ち上げることが知られています。これと同じように金融の仕組みを上手に利用すれば、少ない自己資金で大きな収益を得られる場合があります。

例えばアパートを1棟まるまる買って、家賃収入で不労所得を得て暮らしたいとしましょう。これは私を含めて多くの方の理想かもしれません。各金融機関は融資の拡大に躍起になっている昨今の環境では、少ない元手であっても多額の借金をしてアパートを1棟まるまる買うことができるかもしれません。

家賃収入による利回りが借入金利より高い状態では、この理想は夢ではなく現実になるかもしれません。次の図で確認してみましょう。
図1
投資利回りをi、借入金利をrとします。投資利回りが借入金利を上回っていれば、少ない自己資金でも借り入れ金を多くしてアパートを買って家賃収入で不労所得が得られるでしょう。

・不労所得=(自己資金E+借り入れ金D)×投資利回りi-借り入れ金D×借入金利r

自己資金E当たりの不労所得は次のように整理して表すことができますね。

・自己資金E当たりの不労所得=不労所得÷自己資金E=投資利回りi+(投資利回りi-借入金利r)×(借り入れ金D÷自己資金E)

注目していただきたいのは右辺の第2項、「(投資利回りi-借入金利r)×(借り入れ金D÷自己資金E)」の部分です。投資利回りiが借入金利rを上回っている限りにおいて、借金Dが多いほど、「自己資金E当たりの不労所得が倍増する」という夢のような話が現実になります。現在のような低金利では、借入金利rが下限にあるので「まさにチャンス」と言えるでしょう。

しかし、夢はいつかは覚めるものです。同じ事を考える方が増え、雨後のタケノコのようにアパートが乱立することで、テナントの奪い合いになることは必然です。こうなると家賃を引き下げざるを得なくなったり、空室率が上昇するでしょう。固定資産税等の負担も馬鹿になりません。結果的に家賃収入による利回りiが大きく下がってしまいますし、借入金利rが上昇しても同じことになります。その後は敢えて詳しく述べませんが、悲惨な結末が待っています。

このようなリスクを考える人は、あまりいないのかもしれませんが、現実としてリスクを抱えることになります。レバレッジを使った投資は不動産に限らず、FX(外国為替証拠金取引)や商品や金融の先物取引などを含めて沢山ありますが、いずれもハイリスクハイリターンになる可能性が高いということを知っておくといいでしょう。


低金利が続くと、住宅ローンは勿論、クレジットやカードローンなどを利用する人が増えます。

しかし、ローンはあくまでもローンですので、借り手がトクをするということはありません。借りたお金は期日までに利子を付けて返すという原則は変わりません。この原則を忘れてしまって、「借りやすいから」とオーバーローン気味になっているのが現在の状況ではないでしょうか。マンションの価格を調べてみると、首都圏の価格が他府県より格段に高くなっていることに、その兆候をみることができます。お金を借りやすい環境に流されず、ライフプランをしっかり立てて、必要の無いローンは利用しないように心がけることが、リスクやトラブルを避けるために重要なのではないでしょうか。

低金利が期待できるネットバンク。フラット35も含め、一覧で比較しました↓


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