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相続税基礎控除に生命保険の死亡保険金を上乗せする方法をFPが解説!

FPが解説!相続税基礎控除に生命保険の死亡保険金を上乗せする方法
はじめに、誤解の無いように申し上げておかなければならないことがあります。それは、「相続税の基礎控除額に上乗せというものはない」ということです。 ただし、生命保険の中でも死亡や高度障害を起因として受け取る死亡保険金には、非課税枠というものが設けられております。 つまり、この非課税枠の部分が相続税の基礎控除額と併せて、税負担の軽減効果を生み出していることになります。 本記事では、この相続税の非課税枠を中心に相続税を軽減させられるためのポイントや相続税対策について一部ご紹介していきます。

1.生命保険の死亡保険金と非課税枠の関係

はじめに、国税庁が公開しているタックスアンサーより、生命保険の死亡保険金と非課税枠の関係について一部引用し紹介します。


“死亡保険金の受取人が相続人である場合、全ての相続人が受け取った保険金の合計額が次の算式によって計算した非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります”
500万円×法定相続人の数=非課税限度額
参考 国税庁No.4114相続税の課税対象になる死亡保険金1制度の概要
法定相続人とは、「亡くなった人の財産を引き継ぐことができる人」のことをいいます。
参考 相続税基礎控除の改正、金額、配偶者や家族構成での差をFPが解説!
たとえば、本人(故人)、配偶者、子ども3人の5人家族の場合、法定相続人の数は、配偶者と子ども3人を合わせた4人となります。 先に紹介した計算式にあてはめて計算することで受け取った死亡保険金に対する非課税限度額を計算することができます。
500万円×4人=2,000万円
仮に本人が亡くなったことによって、配偶者が2,000万円の死亡保険金を受け取った場合、この2,000万円に相続税はかからないといったイメージになります。 以下、実際にあり得る具体例を示して、相続税がかかるのかどうかを検証してみます。

1-1.6,000万円の死亡保険金に相続税はかかるのか
    法定相続人4人の場合

前述した、本人(故人)、配偶者、子ども3人の5人家族で仮に配偶者が6,000万円の死亡保険金を受け取った場合、 はたして相続税はかかるのでしょうか。計算の便宜上、ここでは死亡保険金以外の財産等はないものとします。

死亡保険金の非課税枠
500万円×4人=2,000万円
遺産総額
6,000万円(生命保険金)-2,000万円(非課税枠)=4,000万円
相続税基礎控除額
3,000万円+(600万円×4人)=5,400万円
課税遺産総額(計算結果がマイナスの場合は0円とみなす)
4,000万円(遺産総額)-5,400万円(相続税基礎控除額)=▲1,400万円

この家族の場合、6,000万円の死亡保険金を受け取ったとしても相続税がかからないという計算結果になりました。 仮に、生命保険の死亡保険金に対する非課税枠がなかったとすると、課税遺産総額は、600万円となり、相続税が課される要因となってしまいます。 生命保険を活用した相続税対策という話を聞いたことがある方も多いと思われますが、 このような制度を賢く活用することで多くの財産を次の世代に移してあげることも可能になるわけです。

1-2.参考 相続税申告書に記載する生命保険金
       などの明細書

図01

図02

2.生命保険の死亡保険金と非課税枠の注意点

生命保険の死亡保険金と非課税枠には、あらかじめ気を付けておかなければならない注意点があります。


本項では、その注意点について個別に解説していきます。

2-1.相続人以外の人が取得した死亡保険金には
    非課税の適用はない

生命保険の死亡保険金の受取人を複数名に分けている方もたくさんおられると思います。 一例として「配偶者の保険金受取割合50%」「両親の保険金受取割合50%」などが典型的に多く見られる印象を受けます。 実際のところ、筆者が、生命保険の見直し相談をお客様から受けて、保険証券の内容を確認しますと以下のような懸念が多々見られます。
・既婚後、死亡保険金の受取人がすべて両親の
 ままになっている
・離婚後、死亡保険金の受取人が前の配偶者の
 ままになっている
・既婚後、氏名が旧姓のままになっている
・住宅を購入した後に住所変更の届出を
 おこなっていない
特に赤字で紹介した部分は、要注意です。国税庁では、「相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用はない」としており、 既婚後や離婚後に生命保険の受取人を速やかに変更しておかなければ、思わぬ弊害が生じてしまう原因となります。

2-2.相続放棄した人や相続権を失った人は
    非課税枠に含まれない

相続放棄とは、故人の財産を引き継ぐことができる権利を持っているものの、その財産を引き継ぐ権利を放棄して財産を一切引き継がないことをいいます。
ケース・バイ・ケースではありますが、故人の財産が必ずしもプラスの財産ばかりであるとは限りません。
たとえば、亡くなった本人が多額の借金を残していた場合、残された遺族が亡くなった本人に代わって借金の弁済をしなければなりません。
ただし、それでは一家が共倒れしてしまうことになる可能性も否めないことから、法律上、相続放棄といって故人のプラスの財産もマイナスの財産もどちらも引き継がない方法を選択できる配慮が取られております。
相続権を失った人とは、相続廃除(そうぞくはいじょ)や相続欠格(そうぞくけっかく)といった事由に該当する人のことをいいます。
たとえば、殺人などの犯罪を起こした場合や故人に対して以前から暴力行為を行ったり、侮辱したりなど、非人道的な行為をしたものは、相続権を失うことになります。 相続放棄、相続廃除、相続欠格といったものに該当する場合は、死亡保険金の非課税枠に含まれないことになります。

3.生命保険を活用した納税対策

納税資金としていくら用意しておけばよいのかについて、専門家を交えた事前対策をしておくことが効果的です。


仮に故人が残した相続財産のほとんどが、土地や建物といった不動産で現金や預金があまりない場合、 時として相続税を納めることができないといった問題が生じてしまう恐れがあります。 このような状況に陥ってしまいますと、相続で引き継いだ土地や建物といった相続財産を売却して相続税を納めるといったおかしな現象が起こってしまいます。 不動産の価値が高ければ高い程、このような危険性が大きくなることから、生命保険を活用した納税対策は、 手持の現金や預金が多くない人には、極めて有効な方法になります。 あらかじめ生命保険に加入して相続税の納税対策を取れているということは、結果として故人が残した不動産を手離さなくても済むことに繋がります。 できる限り、想定される相続税額を正確に算定し、納税資金としていくら用意しておけばよいのかについて、専門家を交えた事前対策をしておくことが効果的です。

4.おわりに

生命保険は、残された家族の生活を保障するための大切な財産であるからこそ、相続税の非課税枠を設けていることがわかりました。 今や相続税は、お金持ちだけにかかるものではなく、一般の人にもかかる可能性がある税金です。 特に前項で解説した納税資金対策は、多くの皆さまにまずは確認していただきたいと思っております。 「わからなかった」「税金がかかるとは知らなかった」は、残念ながら通じる世の中ではございません。 相続税も含め、相続には注意しなければならないこと、大きな落とし穴、事前の対策といった要素が至る所に散らばっています。

専門家を交えた事前対策をしておくことが効果的です。

それぞれの世帯によって事情が異なるからこそ、本記事が相続全般に関する危機意識を多少なりとも持っていただくきっかけになれば幸いです。

このページでわからない点があれば教えて下さい、相続牧場のFPが確認後回答致します。


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